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花に酔う
第3章  金木犀 * 


……こんなに香り、強い花だったかな……。


くらくらとしそうなほどのそれを感じながら。
私は俯いたまま、ただ立ち尽くしていた。


奪われてしまったブラ。

ショーツだけの姿を、彼の目の前に晒している私。
手で、胸を隠して。


「きつかったりしたらすぐに言って?
加減とか……よく分からないから」


小さく頷くと。


「……じゃあ。両手を後ろでくっつけて?」


そう、静かな口調で言われ。
私はそれにおとなしく従った。

この一種独特な雰囲気の中。
胸を彼の目の前に晒すのがなんだかすごく恥ずかしかったけど、すぐに彼は私の背後に回ったから。


「縛るよ」


その言葉と同時に、ネクタイが。
ぐるぐると、両手に巻き付けられた感覚。


少し不安になって振り向こうとした身体は彼に制される。


「痺れたりしたらすぐ言って?」


動かないでね、と。
その優しい口調に私はこくんと頷いた。


きゅっ、と。
とうとうそこで縛られて。


私の両手は、動かせなくなってしまった。



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