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花に酔う
第3章 金木犀 *
前に回る。
俯いていた彼女に、きつくない? と聞いた。
こくんと頷くその仕草にほっとする。
――――あくまでも、僕の願いということにして。
そうして、彼女の了解はようやく得られた。
別にどっちでもいい。
彼女をこうできるのなら。
無理矢理とか、そういうのは趣味じゃないし。
彼女が、素直に僕に身を任せてくれる気持ちになれるなら、それが僕の望みだということにしておいても。
彼女はいつも、セックスのときは受け身だった。
控えめな喘ぎと、動き。
もう少し大胆になってくれたら嬉しいとずっと思っていた。
だから、少しずついろいろと試してみたい気持ちは前から僕にあったんだ。
あの映像を、きれいだと言う彼女。
……そういう性癖が、あるのかもしれないって。
可能性は無きにしもあらずだよな、って。
そんなふうになんとなく、考えていた。
彼女が嫌がったらすぐにやめるつもりだった。
長い付き合いだから。
顔を見ればだいたい分かる。
そんなふうに軽く、僕は考えていたんだ――――。