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花に酔う
第3章  金木犀 * 


「……あの女の子、ここにも縄かけてたよね」


ここに、こう……と。

つつ……と。
私の胸の上と、下を。
彼の指先が、そっとなぞる。

びくん、と揺れてしまった身体。


「胸が強調されるように、同じようにしてみる?」


私の反応には、気付かないはずないのに。


「……ね?」


目を合わせてきて。
そう、聞いてきて。

その目に吸い込まれていくような感覚を覚えた私は、小さく頷いていた。


「……待ってて」


そしてまた、彼はクローゼットに。
私は取り残され。
心臓のどきどきは、なぜか激しくなる一方で。


少しして。
いいのがあったよ、と言いながら戻ってきた彼の手には――――私のチェストに入っていたはずの、ボルドーのカラータイツが2足。
ひとつは予備で買ったもので、まだ袋に入っていたけど。
彼はそれを躊躇いなく開封し、中身を取り出す。


思わず彼を見つめると、ふ、と微笑まれ。
また私の背後へとその姿を消した。


する……と。
戸惑う間もなく胸上に、それが回され。
腕ごと、後ろでぎゅっと縛られる。

同じように、胸下も。


俯くと、胸の上と下にある赤。
いつもより膨らみが強調された私のそこ。


前に再び回った彼。
その、真剣な目。
私の様子を確認するかのように、ちらりと視線が送られてくる。
 
激しい鼓動と、その赤のせいなのか……ただでさえなんだか胸が苦しいのに。
そんなふうに見られたらもうたまらない――――。


ひとりでに荒くなる、息を抑えたくて。
きゅっと下唇を噛んだ。


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