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花に酔う
第3章  金木犀 * 


……彼女の様子が、おかしい。


その頬は紅潮し。
その唇は噛まれていて。

息が荒いのも、伝わってくる。


「苦しい?」


聞いても、首を横に振る。


「……大丈夫」


か細く漏れた声。


僕は彼女の様子に注意を払いながら、胸の上にある紐のようなそれの位置を少し調節する。


しながら、言った。


「すぐずれてきちゃうかもしれないけど。
……うん、あの子みたいにちゃんとなったよ」


胸を挟んでいる二本の紐。
強調された、胸の膨らみ。


僕は今、彼女を縛ってる――――。


小さく息を吐きながら、何だかこの状況に酔わされているような。
そんな、どこか高揚した気持ち。

それを確かに感じながら。
下の方の紐の形も綺麗に整える。


「あ……」


指先が彼女の身体に触れると、その身体がびくんと反応することに僕はもう気づいていた。


漏れ聞こえるのは。
なんて、甘い色を帯びた息なのか――――。


それに何だか煽られていく。
自分自身も。


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