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花に酔う
第3章 金木犀 *
動かせない。
気遣ってくれたのか、胸も、手首も。
拘束はそんなにきつくないと思うけど。
それでもやっぱりそこに確かに感じる圧迫。
なんだか苦しいような気がしてくる。
正面から彼が私を見つめている。
じっと。
気配で、分かる。
私の視線の先には、彼のぎゅっと握られた右手。
時折、何かもどかしそうに指が動いてる。
どうしたいの?
私はこれからどうされるの?
こんな状態で何かされても、私は抵抗なんてできない。
……だって、動かせないから。
「すごく、いい」
彼が呟いた。
恥ずかしくて、顔が熱い。
もう泣きそう。
荒い息は唇をきつく噛んでも鼻から漏れてしまう。
「……来て」
さらに私に近づいた彼が、私の背中に手を添える。
触れられた瞬間のぞくりとしたその感覚――――。
必死で耐えて。
彼に導かれるままに、歩みを進めた。
そこにあったその前に立たされる。