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花に酔う
第3章 金木犀 *
「ほら……」
姿見の前。
彼女を導いた。
背後に立つ僕は、その肩から腕にかけてを撫でるようにしながら。
鏡に映る彼女の姿を見る。
視線を逸らしていた彼女が、躊躇いがちにそこに目を向けた。
はあ……と。
悩ましく色を帯びた深い息がその唇から吐かれる。
「思った通りだ……」
深い、暗い赤。
彼女の裸体によく似合う。
……やばい。
僕は、苦しくなるほど高まっている自分自身に気付いた。
どくどくと、そこが脈打つ感覚。
熱い。
触りたい。
彼女に。
ネットで映像を見たときには感じなかった、この欲望。
なんだか怖い、としか思わなかったあの縛られた姿。
なのに、今のこの僕の身体は。
心は。
ああ……そうなんだ。
彼女じゃなきゃだめなんだ、僕は。
そう、自覚した。
彼女のこの姿だからこそ。
こんなにもそそられ。
これほどまでに興奮もする。
感動してしまう。
最愛の彼女の身体の自由を、僕のこの手でいま。
……奪ったのだという事実に――――。