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花に酔う
第3章  金木犀 * 


う……、と呻くような声。
背後から覗き込んだ彼女のその今にも泣き出しそうな顔。


可愛い。
なんでこんなに可愛いんだろう。


ぞくぞくして。
たまらなくて。
どうしようもなくて。


正面に回る。


ごくり、と。
無意識に喉が鳴った。


……さわりたい。
でも、さわっていいんだろうか。


何故か、躊躇する。


……でも、少しだけ。
ほんの、少しだけなら――――。


そんなことを考えながらもそっと伸ばした指先。
その鎖骨に微かに触れる。


「んっ」


ただそれだけのことなのに。
どうして彼女はそんなに顔を歪ませ。
身体をくねらせるのか。

そんなふうにされたら。
そんな姿を見せられたら。
もう、僕は自分を止められなくなるのに――――。


はあっ、と大きく息を吐き。
きゅっ、と。
彼女が大きく尖らせているその乳首をつまむ。


「いやあっ」


びくん、と。
途端に彼女の身体は僕の手から逃れようとした。
咄嗟に指を離す。
でも、硬い……その感触に僕はさらに煽られてしまっていて。

よろけたその身体を支えるようにしながら、唇をそこへ近づけた。

ぺろり、と。
舌先ですくうように舐め上げる。


「ああっ……!」


捩らせる身体。
でも僕はそれを許さない。
そうできないように支えながら、執拗にそこを舐めて、吸う。
そして、甘噛みする。


「ひうっ」


ああ……可愛い。
可愛くてたまらない。

頭の芯から彼女に狂っていくような感覚。


ぴちゃぴちゃと。
ちゅうっ、と。
わざと音を立て、責めたてる。


「……っ、ひ……んっ……」


彼女の声はもう、ほとんど泣き声に近い。
唇を離して彼女の顔を見ると。
恥ずかしそうな……でも、縋るような視線を僕に返してくる。


視線を合わせたまま、僕はゆっくりとしゃがみこんだ。



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