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花に酔う
第3章  金木犀 * 


彼が、私を見つめたまましゃがみこむ。
私もその視線を逸らせない。


「……甘い匂いがする」


私の下腹部の前にある顔。
首を振って、あの花を飾ってある方を見る。


でも。


「……花の匂いなんかじゃないよ」


彼は、そう言って。
私のショーツの両端に指を掛けた。


「いや……あ」


私の声など聞こえないかのように。
つつ……と。
ゆっくりそれを下ろしていく。


「……あ。
糸、引いてる――――」


彼の指先が突然そこに触れた。
ぬちゃ、と音がしたかと思った。


「――――!!」

 
思わず腰を引く。
でも、すぐに引き戻される。


「ぐちょぐちょだ」

「……っ、やあっ」


恥ずかしい。
恥ずかしすぎる。


「こんなに濡れやすかったっけ……」


ぽつりと零す彼の言葉は、独り言のようにも思えるし。
私にわざと聞かせているかのようにも思えた。

するすると足首まで下ろされたショーツは呆気なく奪われ。

そのまま、彼は。
私のどろどろのそこへ――――。



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