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花に酔う
第3章 金木犀 *
ああ、だめ――――……。
快楽に、何が何だかもうわからなくなっていた。
抵抗もできず。
されるがままに、身体を揺らす私。
はあはあと息をするたびに、胸が苦しい。
そこが苦しい。
だから余計に思い知らされる。
私は彼に縛られてしまったのだ――――と。
いつもどこか冷静な私。
セックスのときもそう。
彼に自分がどう見られているのか気になって。
乱れるのが恥ずかしくて。
だから無意識に快楽にストップを掛けることも多かった。
これ以上はおかしくなりそうだと思うと、やめてもらっていた。
……優しい彼は、いつもそれ以上無理強いはしなくて。
それなのに。
そんな私が後ろ手に縛られ。
高い声をあげて身をくねらせる姿。
彼にはいったいどう見えているんだろう。
彼はどう思っているんだろう。
恥ずかしい。
こわい。
でも――――逃げられない。
「……っ、あっ……!」
ぐち、と。
指先がなかへと入り込んでくる。
掻き出される蜜。
膣壁を擦られた。
「んぅっ」
立ったままこの快楽に耐えなければならないのが苦しい。
足が震えてもう限界で。
「……おねがいっ」
たまらず、訴えた。
「も、挿れてっ……」
はしたない。
こんなおねだり、自分がするなんて。
でも、もう無理。
早く欲しくて。
指なんかじゃ足りなくて。
それぐらい奥が疼いてて。
ぴちゃ……と。
水音を立てながら、そこから彼は指と唇を離す。
「……珍しいね」
大きく息を吐きながら呟いて。
手の甲で唇を拭うようにしながら立ち上がる。
はあはあと息を荒げる私の腰を支えるようにしてベッドに近づかせ、そこに座らせた。
服を脱ぐ彼を見ながらそのときを待つ。
早く――――。
私の頭はそれだけを訴えていた。
他にはもう何も考えられなかった。