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第3章 　金木犀　＊　

「いやっ……」


だめ……、と。
荒い息の合間に彼にする抗議。
もちろん本心からじゃないことを彼は分かっているのだろう。
ぐりぐりと、意地悪くそこを弄りながら。
腰をずんずんと突き上げてくる。


「ああっ、やっ、だめ……っあんっ！」


揺らされる動きに必死に合わせながら身体を揺らす。
奥へと深く突き刺さってくるような彼のもの。
腰を掴まれ、私は逃げられないままただただ揺らされる。


「あっ……っあ、んっ、やあ……！」


身体が熱い。
ずんずんとなかを突かれ続ける気持ちよさに、開いたままの口から唾液が零れそうになる。
慌てて唇を噛みしめた。


「ふ……ん、ううっ……っあ！」


それでもすぐにまた開いてしまうだらしのない口。
とうとうそれは零れ。
拭いたくても拭えず、恥ずかしさに涙がこみ上げた。
ううん。気持ちよすぎて、かもしれない。
もう自分でもよくわからない――――。


「や、ああっ、も……だめ、えっ……！」


何にも掴まれない不安定な身体。
ずっと力を入れてた足も、もうつらくなって。
たまらず、がくんと彼の胸に倒れ込んだ。

息を荒げながら、縋るように彼を見つめると。
身体を返され、私はそのまま仰向けに押し倒される。


「つ……」


背中の下になった、縛られた手。
思わず声を漏らすと、察してくれた彼がくるりと私の身体を俯せにする。

息を荒げながら、彼は私の胸の上下を縛っている紐を引っ張った。


「んっ」　　


解いているのか。
私は彼にされるがままで。
時折ぶつかる彼の指先に、半端に刺激されたままの身体を激しく疼かせながら解放されるときを待つ。