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花に酔う
第3章 金木犀 *
行為のあと――――。
……ぐったりと横たわる彼女の、手首に巻き付けた紐をそっと解く。
「痛くない……?」
僕のその言葉に、平気、と小さく呟いて。
「……なんか、わけわかんなくなっちゃった……」
それからそう、掠れた声で続けた。
すごく可愛かったよ、と。
僕はその火照った頬をそっと撫でる。
「ひやっとする……」
彼女はその手に擦り寄せるように、自分からも頬を押し当てる。
うっとりと。目を閉じて。
そんな彼女を見下ろすようにしながら、思う。
……やっぱり。
彼女にはそういう性癖があった、と。
縛られたことで、ストッパーが外れ。
自分ではもうどうすることもできないという状態に酔い、快楽を素直に受け入れたということなのか。
それとも縛られること自体に快楽を覚えたのか。
……よく、分からないけれど。それでも。
もう戻れないだろう。
それに気づかなかった頃には。
そう、思ってしまうぐらいの、今までにないくらい濃密な時間の共有――――。