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花に酔う
第3章 金木犀 *
「……また、縛っていい?」
僕の言葉に。
まだ余韻に浸っているかのようなうっとりとした表情で、彼女は頷く。
「痛いのはやだけど……」
僕の手でされるなら――――と。
そんな嬉しい言葉を口にする。
縛ることで、彼女が快楽に素直になれるなら。
あの可愛い姿を僕にさらけ出してくれるのなら。
僕はこれからもそれをし続けるんだろう。
彼女を満たすためにも。
……自分を満たすためにも。
「……もっときれいに縛れるように頑張るよ」
そう答えながら。
次はどんな彼女の姿が見られるだろうと、そんな想像に早くも僕の心は奪われていた。
本格的に縛ってみるのもきっといい。
詳しく調べてみようか――――いろいろと。
……ふ、と。
落ち着くにつれ、あらためて気付く。
この場所を濃密な空気に変えて。
僕と彼女の密やかな行為をより扇情的に彩ってくれたかのような。
……そんな、酷く甘いそれ。
金木犀の香りを知った夜。
彼女の性癖を暴いただけじゃない。
僕は。
そう……僕のそれをも、知ったんだ――――。
f i n.