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花に酔う
第4章 椿 *
協力?
……そんなもの、必要なかった。
まるで互いが運命の相手だとでもいうようにふたりは急速に惹かれ合っていった。
僕はそれを、ただ。
……ただ黙って見ていることしかできなくて。
まるで当然のように。
昔からそう決まっていたかのように。
ごく自然に、付き合い始めたふたり。
彼女の隣には、彼。
今までずっと僕がいたその場所は、もう僕だけの場所ではなくなっていた。
それがどんなに僕にとって苦しく、哀しいことか。
彼女は知ってか知らずか──彼と会えるときはいつもと変わらない顔で、またねと僕に手を振る。
そのときのその目にはもう彼しか見えていないのだろう。
僕が返事を返さなくても気にも止めず、すぐに僕の存在を忘れたかのように、あとはただ、彼だけを想うのだ。