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花に酔う
第4章  椿 * 


あんなこと願わなければよかった――――。


勿論、僕の願いがその事故を引き起こしたなんて思わない。
けれどもあまりにもそれは。
ただの偶然で納得するなんてこと、そのときの僕には難しすぎて。


僕が願わなければもしかしたら――――。


そんなふうに、抱いてしまった罪悪感。
彼女に対する、後ろめたい気持ち。


さっき自分を襲った得体の知れない感情は、きっとそれで。
気付くと同時に、もうそれだとしか思えなくなった僕はまた、彼女を背後から抱き締める。

彼女の慟哭を聞きながら。
僕はひたすらにその背中に向かって謝り続けた。
何度も……泣きながら、何度も。



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