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花に酔う
第4章 椿 *
眠るときはいつも、彼女に寄り添い。
その身体を抱き締めるように、そうしていた。
もちろん最初は別々だった。
彼女はベッドで。
僕はその横に布団を敷いて休んでいたのだけれど――――いつの間にかベッドを抜け出した彼女が、バスルームで死のうとしているところを見つけたから。
死なせて、と暴れる彼女を。
死なせない、と押さえつけた。
じゃあ殺して、と願う彼女を。
殺せない、と抱き締めた。
生きることをも放棄しようとするその姿。
早く死にたい。
彼の元に行きたい。
今すぐに行きたい。
目覚めませんように、と願いながら眠りについて。
なのに朝、目覚めたときの絶望――――。
彼のいない世界でまた今日も生きていかなければならないつらさ。
すべてを僕に、ぶつけながら。
その苦しさを、僕はひしひしと感じながら。
……それでも彼女のそんな衝動などもちろん許せるわけもなく。