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花に酔う
第4章 椿 *
……そうして。
彼が亡くなってから、1か月余りが過ぎ――――。
相変わらず彼女は哀しみの中にいて。
感情が乱れることも。
無気力のようになることも。
それは変わらなかったけれど。
僕の方が、そんな彼女への対応にいつの間にか慣れていったということだろうか……最初の頃ほどの苦しさはなくなっていた。
彼女に寄り添い。
その哀しみを肯定し。
その苦しさを共有する。
僕がいるから、と伝え続ける日々の中にも……何て言ったらいいかわからないけど、必要とされているのは間違いないという思いが。
縋られているという確信があって。
ずっと、このまま彼女を支えていきたい。
こうやって彼女のそばに居続けたい。
居続けることができますように、と。
そんなふうに願わずにいられない日々を、僕は送っていた。
……あんなことを願ってしまった自分を。
彼女のために生きることで許されればと……そんなふうにも思いながら――――。