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花に酔う
第4章 椿 *
しん……と。
張り詰めたような、空気。
やがてそれを、彼女の言葉が解いた。
「……苦しいの」
それは、あまりにも普通すぎる口調。
「お願い……もう無理」
僕を振り向かず。
庭を……その木を見つめたままで。
まだ落ちずに残っている椿の花を見つめたままで。
淡々と、繰り返す。
それが意味することは――――。
あまりにも残酷すぎる君の想い。
何も答えられず……ただ、黙って僕は俯いた。
彼女と暮らしたこの1か月半。
思い出されたのはあの頃のこと――――。