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第4章 　椿　＊　

『苦しい』

『もう無理』

『……死にたい』


彼女はその考えに囚われると。
止める僕にいつもそう口にした。
もう何度も聞かされた言葉だった。

最愛の彼の元に行きたいという気持ち。
あって当然だと理解はしていた。
その度に、僕がいるから――――そう伝え続けた。
彼女のその願望が時間と共に消えていってくれることをひたすらに願いながら。

そして最近はそんなこともなくなってきていて。
だから僕は……ようやく、と。
勝手に安心したりしていたんだ。


回復に向かっていると思ったのは、間違いだったのか？
そう思いたい僕の頭が、彼女の言動を都合良く解釈してしまっただけなのか？

あのとき感じた希望は。
ただの願望に過ぎなかったということなのか――――？



……どうして。


どうして――――……。