パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第4章 　椿　＊　

絶望的な思いを抱いたままでついた、深い溜め息。


静かに佇む彼女の髪を……服の裾を。
風がそっと揺らす。


そのすらりとした背中は美しくて。
そんなことを願っているひとの後ろ姿だなんて思えないくらい、凛としていた。


それはもう……覚悟を決めているからなのか。


僕の気持ちを知らぬまま。
知ろうともしないまま。


俯いて、噛んだ唇。



「お願い――――……」



そうして、君はまた繰り返す。


そっと視線を送るも、見えるのはやっぱりその後ろ姿だけで。

それでも、僕には分かる。
今、君がどんな表情をしているか。


だって僕は、君だけを見てきたんだから。
ずっとずっと……君だけだったんだから――――。