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花に酔う
第4章 椿 *
「自分のため、って……?」
彼女のその疑問。
「そういえば……いつもなぜか私に謝ってたよね」
そのまま流してはくれないようで。
そんなふうに……続ける。
「それ耳にするたび何でだろうって思ってた……。
だってそうでしょ……謝るとしたら私なのに。迷惑かけてるの私の方なのに――――」
顔を上げ、僕を見ている彼女と視線を合わせる。
彼女の表情から読み取れるのは、本当に純粋な疑問……といった感じで。
それを口にしたらきっと嫌われる――――。
そんな思いから生まれた、言おうか言うまいかという躊躇い。
それはすぐに、今さら隠しても……という諦めのような感情に消えていった。
だって、彼女はもう。
僕を拒んでる。
僕がいる――――そう言い続けてきたのに。
それは少しも伝わっていなかった。
だから、あんな。
『止めないでほしい』
『もう放っておいて』なんて言葉を――――。