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花に酔う
第4章 椿 *
……ねえ。
君は僕の気持ちに気付いてないの?
それとも、本当は気付いていたけど。
応えられない以上は……と、知らない振りをしていたの?
彼はもういないのに。
彼のために死を選ぶと言う君。
僕がそばにいるって言っても……それでも彼を選ぼうとする君――――。
「……彼がいなくなること。
ずっと望んでいたから」
心の中にある、その後ろ暗い感情。
初めて人前で口にした。
怪訝そうに僕を見る彼女。
それでも僕の言葉は止まらなかった。
「消えればいいってずっと思ってた」
吐き捨てるような口調になったことに自分でも少し驚きながら。
「……そしたら」
また声が、震えて。
「そしたら本当にそうなったから――――……」
彼女から目を逸らし。
だから、と……呟いた。