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花に酔う
第4章 椿 *
「……自分がそう思ったせいで、ってこと……?」
彼女の声も、少し震えているような気がした。
「そんな――――そんなこと……あるわけ……」
途切れた言葉に、静かに彼女に向けた視線。
「……っ……そんなこと言ったら……」
その表情が、不意に崩れ。
「わ……私の方こそ、だから……」
そう言うと、私が……私を、と。
肩を震わせ。
涙をぽろぽろと零し。
「庇ったから……っ……私のこと、庇ったりなんかしたからっ……!」
しゃがみ込んで、声を上げ泣き始めた彼女――――。
「え……?」
慌てて僕は駆け寄り、その震える身体を抱き締めた。
「……彼、すぐに帰ってくるから待っててって私に言ったのに……!
私、彼といたくて……少しも離れるの、いやで……一緒に行くって言ったから……!
私が乗ってなかったら彼は自分を庇えたはずなのに――――!」
わあっ、とそのまま僕にしがみつく。