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花に酔う
第4章 椿 *
ぴたり、と。
彼女の動きが止まった。
「ずっと……ずっと好きだったんだ」
僕は繰り返す。
「小さい頃から僕はずっと君だけだった」
ぴくりとも動かない彼女をさらに強く抱き締め。
「……だから」
深く息を吐き。
何年……? もう分からなくなるぐらい長い間抱いてきた想いを言葉に込める。
「だから彼にはもう渡さない……!」
……好きだ。
本当に好きなんだ。
渡したくない。
渡せるもんか――――もう死んだやつなんかに。
「好きだ……」
腕の中の彼女は何も答えない。
「お願いだから僕のそばで生きて。
……死ぬなんて言わないで」
これからは僕と。
僕と、ずっと――――。