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花に酔う
第4章 椿 *
「……馬鹿みたいだ」
思わず呟いた。
「彼がいなくなればいいって……そんなことばかり考えてたけど。
そしたら君は僕を見てくれるはずだって思い込んでいたけど。
……最初から、そういう存在にはなれなかったってこと?」
でも、うすうす……分かってもいた。
僕を選んでくれるなら、もっと早くに選んでくれたはずだった。
こんなに長く一緒にいるのに……それでも彼女の中ではずっとただの幼馴染み止まりだった僕。
それをいきなり恋愛対象として見てもらえるなんて……叶うことのない無理な話だと言われればそれまでで。
そしてそれはきっと。
これからもきっと変わらなくて――――。
「……ごめんね」
彼女がまた、謝る。
「いいよ……もう」
告白は、最後の望みだった。
そのつもりで口にした。
それすら打ち砕かれた僕にはもう……何もない。