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花に酔う
第4章  椿 * 


「……私はもう……彼と出会っちゃったから……。
誰がだめとか……誰ならいいとか……そういうんじゃなくて――――」


はあ……と、深く息を吐き、続けた言葉。


「……彼以外は……もう無理……」


はっきりと口にされた、その意味。


……これ以上は無駄な足掻きだと分かってたけど。
その気持ちなら知っている僕は、彼女を見つめて無意識のうちに口にしていた。


「……君が死んだら僕はもう生きてなんかいけない……。
それぐらい僕にとって君の存在は――――……」


もう何もないと思っていた中……それでも生まれてきた言葉だった。

……最後の、告白だった。


なのに。


「……私も、同じ」


彼女は、静かにそう答えて。


「彼なしじゃもう……生きてなんていられない。
……だから早く会って……謝って。
そうして……また彼のそばにいたい」


言葉を選ぶようにゆっくりと続けて。
……僕の告白を。願いを……断った。



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