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可愛いヒモ~番外編
第2章 採用
頭の片隅にあった記憶をどうにか手繰り寄せてきて、答える。
「だいせいかーい」
語尾にオンプマークでもついていそうなノリで、そう一言。
合ってた。良かった。ほっとしていると、今度はさらなる無茶ぶりがきた。
「じゃあ、下は?」
「え、下も!?」
さらに覚えてない。そういえば、下も名乗ってたっけ?
バイト先のお姉さんの下の名前とか正直どうでもいいと思う。
「覚えてないです……」
「二回も名乗ったのに」
しょんぼりと悲しそうな顔をされ、だから同じタイミングで二回名乗られても意味ないんだって、と思わず素でつっこんでしまいそうになった。
だけどその時。
「おい、船越。新人からかってないで仕事しろ、仕事。てか教えてやれ、仕事」
「はーい」
鶴の一声ならぬ店長の一声で、ようやくお姉さんから解放された。なんだ、からかわれてたのか。ちょっと笑ってしまった。
「じゃあ、働くか。まずはいくつかの決まりごとから」
「はい、よろしくお願いします」
……訂正。まだこの人から解放はされないみたいだ。