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可愛いヒモ~番外編
第2章 採用
「ねえ麻人ー」
友梨香さんも、ちゃっかり名前で呼んでくるし。だけど社員は基本的に、他の従業員を名前で呼ぶのは禁止らしく、店長の前では君島くんと呼ばれるけど。
「なんすか?」
その日はいつになくヒマで、ぼーっとしていた。
「見て見てこれ!」
「え、どれ?」
鬱陶しいくらいのハイテンションで友梨香さんが差し出してきたのは、電話の前に置いてあるメモ帳の切れ端。
「PKだよ、PK!」
「……サッカーっすか?」
「じゃなくて」
促されるままメモ用紙を見つめると、そこには子供の落書きみたいな絵が描かれていた。下手!
手足は棒だし、胴はただの長方形だし、髪ももじゃもじゃ、目なんてぐるぐる、なぜか歪(いびつ)に開いた口には牙がたくさん生えている。
「ちなみに女の子ね」
「女の子!? 化け物じゃなくて!? あ、この牙は歯か……。てか絵心皆無ですね! めっちゃびっくりしました!」
「うっさい。どこが化け物だ! 立派に美少女でしょーよ」
いやいやいやいや。どこをどう見ても美少女には見えないし、そもそもヒトに見えない。