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可愛いヒモ~番外編
第2章 採用
その時。
「おい、船越! また新人にからんでんのか。仕事しろ、暇なら掃除でもしてろ」
「あ、はい!」
二人で騒いでいたからか、店長が顔を覗かせる。こういう時だいたい怒られるのは友梨香さん一人だ。
「まったく、おまえがウザすぎて君島が辞めちゃったらどーすんだ。せっかく仕事覚えてくれたのに。ーーごめんな、君島。こいつがウザかったら俺に言って」
それどころか、なんか心配までされてしまってつい笑みが零れる。
「はーい、ありがとうございます」
俺は三枚くらい猫を被った笑顔を顔に貼り付けて、店長にぺこりと頭を下げた。
この店でのいつもの顔。他の従業員にもお客さんにも、だいたいいつもこの顔を向けていた。
唯一友梨香さんには、素に近い顔や言動をしてしまっているけれど。
「船越、ちょっと週報書いとけ。俺パチンコ行ってくる」
「え!? それ店長の仕事ですよね!」
「遊んでた罰だ」
「嘘ですよね!? サボりたいだけですよね!?」
慌てる友梨香さんが面白くて、俺は声をあげて笑った。
友梨香さんとはいつもこんな感じだった。