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可愛いヒモ~番外編
第2章 採用
出勤がかぶって店が暇なら、くだらない話をよくしていた。ポジションは違うのに、バイト先では多分一番話していた人かもしれない。年が近いし、あっちからよくしゃべってくるし、俺には友梨香さんと同い年の姉がいて、そのせいで馴染みやすかった。
サバサバした性格は、男友達みたいだ。
そう、その頃の俺は、友梨香さんを異性として意識したことは一度もなかった。あっちはどうか知らないけど、珍しいくらい女性と話している気がしない。見た目が特別男っぽいわけでもないのに、不思議なくらいだった。
そんな友梨香さんを初めて異性として意識したのは、バイトを初めて数ヶ月が経過した頃。ほんの些細なきっかけだった。
俺は翌日に使う食材を解凍するため、冷凍庫に入った。凍った食材を抱えて冷凍庫を出ると、隣の倉庫から何か聞こえてくる。凍った食材を置いてひょこっと倉庫を覗くと、そこにはしゃがんで在庫確認をする友梨香さんの姿があった。
「おしぼりがあと二袋で……、あれ、わりばしがない? 発注したよね? 確か明日来るしギリ足りるかな……」