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可愛いヒモ~番外編
第2章 採用
俺がさっきまで夢に見ていた彼女は、昔のだ。髪型も、そして彼女の呼び名も。バイトを始めた頃の、付き合い出すずっと前のーー。
「もう、痛いって。びっくりさせないでよ、ゆーり」
そう呼んだ瞬間、ゆーりの動きがぴたりと止まる。今の呼び名はこれ。不機嫌そうにつき出された唇も引っ込んで、照れたような笑みまで浮かべる。
……本当に、呆れるほどゲンキンなヒト。
「ちょっと昔の夢見てた」
「昔の夢って?」
「俺がバイト始めたばっかの頃の。そん時のゆーりと一瞬混ざった」
「だから友梨香さん、なんて呼んだり髪切った? なんて聞いてきたんだ。麻人ボケたのかと思った」
「……まあ、寝ぼけてたから、ある意味ボケてたけど。つか早くどいて。重いって」
ゆーりの体が腹の上から消えて、ふう、と息をついた。あー苦しかった。
「喉渇いた」
「はいはい、麦茶持ってくる」
最近急に陽気が暑くなった。だからつい、薄着のまま寝てしまう。
ゆーりは氷を入れたコップに麦茶を入れて持ってきた。二人分。
喉を潤していると、ふいに思いついたようにゆーりが聞いてきた。