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可愛いヒモ~番外編
第1章 面接
慌てた声と共に、突然若い女性が飛び込んできた。手に子機の電話を持って。
「うっせーな! 今面接中だっつーの!」
さっきまでの、物腰の柔らかさはどこへやら、店長は目をつり上げて女性を怒鳴り付ける。その女性はこの店の制服姿だし、ここの従業員だろう。
若い女性は、一瞬しまったという顔になった。その顔が、ちょっと間抜けで笑えた。
若い女性は声のボリュームを落とし、店長の耳元に顔を寄せた。
「……みません。あの、この……のクレームの件で、部長が訪店する日が……」
だいぶ小声だったし全部は聞き取れなかったけど、クレームがあってなんだか大変らしいことはわかった。
深刻そうな感じだ。店の奥の休憩室らしきところに取り残された俺は、一体どうしたらいいやら。面接も終わったし、もう帰ってもいいのかな。
そんな戸惑いもよそに、店長とその女性のやり取りは、三分ほど続いた。
「わかった。俺が処理するから、おまえはこの子を頼む」
店長の視線が俺に。その視線を追い、女性も俺を見た。
「あ」
俺は慌ててその女性にも、ペコペコと頭を下げた。なんか、パスされてしまった。