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可愛いヒモ~番外編
第4章 女子力アップ大作戦
結局丸投げかいっ。
しかも濡れた食器を拭きながら振り回すから、床に水が垂れてびちょびちょ。
「ガサツだなぁもう……」
俺はそっとため息をついた。そういうところが雑だから、お菓子作りもあと一歩で失敗するんだよ。まったく。
それでもこうやって、何かを任されるのが嬉しいという気持ちもあった。ゆーりのためにしてあげたい。
思えばゆーりを好きになった最初のきっかけは、こういうところかもしれない。ゆーりに頼りにされたり喜ばれるのが嬉しくて、家で料理を練習したりもしたし。これはゆーりには内緒だけど。
「あ、麻人ーっ! ついでに漂白もしといてー! 最近全然してなかった!」
部屋のドアが少し開いて、そんな頼み事までされてしまう。
「はいはいはいはいっ。人使い荒いなー、本当に」
ついつい苦笑いが漏れる。
でもま、たまにはこうやって、彼氏から『ヒモ』に戻るのも悪くはないか。無償だけど。
あと少しで洗い物は終わる。
俺は腕まくりをし直して、気合いを入れ直した。