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お薬飲んだら中二病の後輩が死ぬほど可愛く見えてきたので
第1章 お薬飲んだら死ぬほど変な気分になってきたので
 
 …ふと気づくと、黒坂さんは部室の隅にあるマットに寝そべって、すーすーと寝息をたてながら眠っていた。

 ――ああ、寝息が可愛い…!寝顔も可愛い…!!!!

 ちょっといたずらしてみたくなったが、理性が引き止める。

 
 そこでふと、さっきの小瓶を思い出す。

 白色の液体が入った、手のひらサイズの、得体の知れない小瓶。

 黒坂さんに真っ先に聞けばよかったと後悔した。あんなの起こせるわけないじゃない。

 なんだか分からないので、開けてみることにした。

 …私は何も悪くない。置きっぱなしにした所有者が悪いんだ。

 蓋を開けると…何とも言えない匂いがした。

 悪臭ではないけれども、なんというか…卑猥な気分になる匂いだった。

 
(口に入れればはっきりするよね)

 私はあまりこういうものを「食べてみる」ことに抵抗がない。

 玄関先の白い粉の正体が気になり、食べてみたら塩で、しばらく咳がとまらなかったというような経験は何度もある。

 私は、小瓶を手に取ると、中の液体を2,3滴、口の中に垂らした。

 

 …。

 

 ……。

 
 
 2分ほど経っただろうか。

 毒物だったらどうしようかと口に入れた後で不安になり、一瞬動揺したが、多分私はまだ生きているので、ひとまずは安心だ。

 
 …あれ?

 なんだろう……この気分……。

 なんだか……切ない…? 苦しい…?

 やっぱり毒物だったの…?

 いや、違う…そういう苦しさじゃない。


 ふと、自分の息遣いが「はっ…はっ…」と、少しだけ乱れていることに気づいた。

 
 じゃあ、この感情は、何…?


 私は、自分の右手が、自らの小ぶりな胸に、添えられていることに気づいた。


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