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ダメ人間(女)は今日も男子校へ通う。
第1章 隠れよう。
「それより、キミ。名前は?」
「え、・・・御幸です。」
無駄に整った顔立ちが少しだけ笑った。
な、こいつわたしが時間を間違えたことがそんなおかしいか!!
ムッと目を細めると、相手の方はなおも笑みを深くする。
「ミユキかぁ・・・。なんか女の子みたいな名前だね。」
相手との距離が縮んでいく。
それにつられてわたしも自然に後方へ下がる。
「・・・あ、でも御幸は苗字なんで。」
なんか、雰囲気違う・・・気がした気がするような。さっきまですっごい威圧的な何かがあったような気がするような・・・。
「え、そうなの。じゃあ下の名前は、なんて言うの?」
「さあ、何でしょうね・・・。」
「へー、俺じゃ教えてもらえない?」
ええ、そうですね。
とは言えず、
「あんたこそ名前なんて言うの。」
これ以上自分だけ下がるのも気に食わない。面と向かって言い、立ち止まった。
「俺?ああ、俺か・・・。」
あんた以外に誰がいんだ。
という眼差しを向けながら、彼を見つめる。何だか新鮮そうである。よく分からんが。
「俺はね、雲雀(ひばり)って言うんだ。」
「名前か苗字か知りませんが、人のこと言えませんよ。」
「そうだねミユキ。」
すると雲雀の手がすっとわたしの頬へと伸びる。
それを反射的に避けると、
――――――ドン
背中に小さな衝撃が走る。ちょうど校舎の壁が行き止まりになってしまった。
これ以上、下がれない。
「ミユキか、覚えとくよ苗字。忘れないようにする。」
「・・・いえ、その、嘘です。ミユキは名前です。」
しまった。名前なんて言わなきゃ良かった。覚えておかなくてもいい。
もちろん御幸は苗字。本名は御幸 雅である。

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