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ラストチルドレン
第1章 拾われた体・あたしの気持ち

◇
「達巳君、あたしと付き合ってくれない?」
そんなことを言われたのは、放課後。
朝から降っていた雨が止み、虹が出ていた。
湿気独特の空気感は、気分が滅入る。
楓を連れてさっさと帰ろうとした時だった。
茶髪に濃いメイクの女子が俺に近付いてきて、そう言った。
教室には、まだまだ生徒がいて皆珍しそうに見ている。
俺の返事を今か今かと待たれている空気が嫌で、その女の腕を掴んで教室を出た。
早足になっていたせいか、女は止まってと何度も言っていたが無視した。
玄関まで来た時、俺は漸く腕を離し向き合った。
「告白ってさ。ああいう大勢居るなかでされると困るんだけど」
自分が思ったよりも低い声が出ていると気付いた。
「ごめん。でもあたし本気なんよ」
「悪いけど、そんな時間無い。俺、自分のことで精一杯やし」
「でも!楓とは一緒におるやん?あたしもそれくらいでいいから。少しでもあたしと過ごして欲しい。達巳君の傍におりたいんよ」
今にも泣きそうな声で、叫ぶ。
チラホラ居る生徒は好奇の目で俺たちを見る。
正直面倒くさかった。
女も折れる気無さそうだし、楓との事を言われたら言い返せなかった。
気付いたら、俺はいいよ、って答えてた。

