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ラストチルドレン
第1章 拾われた体・あたしの気持ち



いつも通りの朝、そう思っていたのはあたしだけだった。

教室に入った瞬間、聞こえたのは女子の歓声と達巳の名前。

「おめでとう~羨ましいな」

「達巳君、瞳の事大事にしてくれそうやもんね」

思い出した。昨日、瞳と呼ばれたギャルはこの教室で達巳に告白していたのだ。

あのあと、達巳が瞳を連れて教室を飛び出したから結果は知らなかった。

何となく、達巳は断りそうだなって思っていたけれど、女子たちの会話から、達巳は瞳と付き合ったんだと知った。

別に、達巳が誰と付き合おうが関係ない。

そう思っていたはずなのに、いざ現実に起こるとあたしの心臓は嫌な速さで脈を打つ。

自分の席に座り、鞄をかけると摩耶が心配そうな顔で前の席に座り、後ろを振り返った。

「楓、大丈夫?」

「何が?」

「達巳君のこと……楓、顔青白いよ?」

摩耶に言われて鞄から手鏡を取りだし確認する。

いつも通りのあたしの顔と鏡越しに目が合った。

大丈夫、変わらない。

摩耶にはあたしがショックを受けているみたいに映っているのだろう。

周りの女子もきっと、あんなに一緒に居たのに瞳にとられて可哀想と思ってるんだろうか。

違うのに。あたしは達巳が好きだけど、恋とか愛じゃない。

そう、違うんだ。



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