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ラストチルドレン
第4章 零れていく砂のように・堕ちる暗闇

見慣れた教室の光景も、達巳が居ないだけで色褪せて見えてしまう。
退屈な授業は、達巳の寝ている背中を見るのがあたしの楽しみだったのに。
屋上でサボったって、見える風景はつまらなくて。
隣に達巳が居たら……なんて、そんなことばかり考える。
達巳が居なくなって、寂しい想いをしているのはあたしだけじゃなかった。
達巳の事を好きなクラスの男子も、キャーキャー言っていた女子も。
皆、達巳の話題ばかり出す。
達巳は、あたしが思っていた以上に皆に愛されていたんだと思い知る。
Γ達巳が悪いのは分かってるけど、何か…こんな形で退学になって…何かムカつく」
Γあの文化祭の写真のせいだよな?やった奴許さねぇ」
昼休みに、男子が想いを吐き出しているのを見てふと郷田俊樹を思い出す。
彼は、どうなったのだろうか。
お弁当を食べながら、摩耶に聞いてみた。
Γ郷田俊樹?ああ……アイツならあの写真のせいで退学になったよ」
Γそっか……」
達巳は救えなかったけど、彼も退学になったなら、それは良かったのかもしれない。
これ以上被害者を出す訳にもいかないから。
あたしのような想いはさせたくない。
Γ郷田俊樹をやっつけても、晴れ晴れとした気持ちにはならなかったけどね~」
Γそうだね。達巳は今バイト頑張ってるよ。前を向こうとしてる。あたしも、約束したから。絶対卒業するって」
Γあんたたちなら、大丈夫やね。二人とも支えあって生きてるし。楓、苦しくなったらすぐ言うんよ?」
摩耶の言葉にまた泣きそうになる。
慌てて残りのお弁当を頬張った。

