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ラストチルドレン
第4章 零れていく砂のように・堕ちる暗闇

◇◇◇
Γもうすぐね、修学旅行なんよ」
Γお!どこ行くん?」
Γ関東。ディズニーランドとか?あんまり興味ないけど」
Γ楓がはしゃいでる姿、想像出来ないもんな」
10月、修学旅行がある。
いよいよ、来週に迫った日の夜に達巳と電話をした。
達巳と行きたかった修学旅行。
無理だと分かっているけど、どうしても乗り気になれなかった。
Γお土産、買ってくるね」
Γいいよ、そんなん。お土産話待ってる~」
Γうん…。分かった」
声が段々小さくなってしまうあたしに、達巳は優しい声色で囁いた。
Γもし、修学旅行楽しかったら。いつか、一緒にもう一度行こうや。だから、楓はちゃんと回って、下見してきて?」
Γ下見…」
Γそう、俺と一緒に行くための下見。ね、楽しみになってきたっしょ?」
必死に元気を与えようとしてくれているのが伝わる。
でも、不思議。達巳にそう言われたら何だか楽しみになってくる。
達巳といつか、一緒に行くための下見。
Γちゃんと、見てくる!」
Γ頼んだよ?楓」
達巳の言葉は、あたしを元気にする優しさの塊だ。
Γ俺もその為に働いとくから!」
Γうん♪頑張ってね」
こうやって、二人で頑張る。
辛くて挫けそうな時は、優しさで包んで。
前を向いて歩く。
達巳じゃなければ、あたしはとっくに駄目になっていただろう。
達巳……好き。
電話越しに伝えれば、照れたのか。
Γうっせー、俺も好きだし!バーカ」
なんて、子供みたいな返事が返ってきた。

