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ラストチルドレン
第4章 零れていく砂のように・堕ちる暗闇

カフェを出て、摩耶の行きたがっていた雑貨屋に行き、駅で摩耶の荷物をコインロッカーから取り出した頃には14時を回っていた。
ホテルに集合するのが18時。
十分に、間に合う時間。
あたしたちは柏木さんが教えてくれた電車に乗り込み、綺麗な景色が見られるという場所に向かった。
車窓から見える景色は無機質なビルの群。
都会に憧れている摩耶は、そんな景色を見て住みたいと呟いていたが、あたしはそう、思えなかった。
田舎だけど、あの町が好きで。
それは、達巳が居るから尚更そう思えるのかも知れないけれど。
誰もが他人に無関心な町なんて、あたしには合わない。
きっと、寂しくなって心が折れてしまう。
助け合って生きているあの町の人も、あたしは大好き。
胸を張って地元を誇れる。
Γ高校卒業したら、こっちの専門学校行こうかな」
ポツリ、摩耶が溢す。
Γ進学するの?どんな専門学校?」
Γ美容師になりたくてさ。だから、進学しようかなって」
初めて聞いた、摩耶の夢。
何だか、摩耶が大人に見えた。
Γあたし、割りと人の髪の毛イジるの好きでさ、彼氏とかの髪、練習で切ったことあって。そんとき、めちゃくちゃ褒めてくれたの。素質あるって」
Γ男の言葉、本気にするのもどうかなぁ~って思ったけど、初めて褒めて貰えたから。……やってみたいと思う」
Γうん。摩耶がやりたいこと、あたしは応援するよ?」
真っ直ぐ見つめるその瞳には決意の炎が宿っている気がして。
心から、親友の夢を応援したくなった。

