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ラストチルドレン
第4章 零れていく砂のように・堕ちる暗闇

柏木さんが教えてくれた駅に電車は到着し、人の流れに背いて、駅を出る。
こっちの出口からの方が近いと言っていた。
そこから、約40分歩くらしいのだが。
なだらかな坂が待ち構えていて、運動部でも無いあたしたちは、息を切らして登る。
Γあの、眼鏡。こんなキツい道なら言って欲しいわ」
Γごめんね、本当に」
Γ楓が謝らないでよ、悪いのは眼鏡!」
進藤派の摩耶は、柏木さんが嫌いなようだ。
周りは何もない田舎道。
人さえもすれ違わず、小高い丘の上に到着した。
ベンチがポツンと置かれたその丘は、緑が生い茂る空気の澄んだ場所だった。
Γ――――!」
言葉にならないとは、この事を言うのだろうか。
丘の上から見る景色は、絶景だった。
青空と緑、それに遠くに見えるビル群のコントラストが最高だったのだ。
あんなに高かったビルは、米粒みたいで。
地元の田舎の風景とはまた違った、都会に現れたオアシスのような。
ああ、どんな言葉も陳腐に思えてしまうくらい、その景色は鮮やかで。
写真を撮るのも忘れて、見いってしまった。
Γあの、眼鏡。中々やるわね」
隣で摩耶が悔しそうに、景色を見て呟く。
爽やかな風が吹き抜け、髪を揺らす。
しばらくの間、時間も忘れて立ち尽くした。

