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ラストチルドレン
第4章 零れていく砂のように・堕ちる暗闇

達巳に見せたくて何度も撮った写真。
同じ風景なのに、撮る度に違う表情を見せる。
時間ギリギリまで、あたしはその場に居続けた。
摩耶に引っ張られ、漸く離れることが出来た。
あの空間は、マイナスイオンでも出ているのか、それともパワースポットの類いなのか。
引き寄せられるような、元気を貰えるような、不思議な感覚が心に溜まる。
ホテルに戻っても、翌日の遊園地も、それなりに楽しかったのだけれど。
やっぱり、あたしはあの場所が一番の思い出になった。
何となく、あの風景は達巳と見る屋上の風景にも似ていたからだろうか。
もう、二度と見ることは出来ない屋上からの風景。
修学旅行から帰ってきたその夜に、あたしは達巳に会いに行った。
会って、今すぐ抱き締めたかった。
こんな風に思えるなんて、やっぱりあたしは成長してしまったんだ。
恋とか愛とかそんなんじゃない、ってこの心に知らん振りをしていたあの頃が懐かしい。
今、あたしは全身から愛を達巳に向けている。
それが、可笑しくもあり、愛しくもあった。

