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ラストチルドレン
第1章 拾われた体・あたしの気持ち

「あれ、楓?おはよう」
達巳が目を覚ましたのは、3時間目が終了するチャイムが鳴り響いた時だった。
ずっと聴きたかった達巳の声があたしの耳を貫き、視線が重なった瞬間。
どうしてだか、涙が出た。
「何で泣いとんの?」
キョトンとした顔の達巳が可愛くて、泣きながら笑ったあたしは、すごく不細工だろう。
「何でやろ。あたしも分からん」
「そうか」
達巳は、起き上がり前を向く。
何を見ているのか、しばらく黙ったまま。
涙を拭って、いつも通りのあたしに戻った頃、達巳は話し出した。
「昨日告白されてたやんか?」
「うん」
「断ったんに、玄関でも泣き叫ぶから面倒くさくなって付き合うことにしたんよ」
「そっか。それはご愁傷さま」
達巳らしい。そう思った。
押しに弱いと言うか、断りきれないのが達巳だ。
何だか少しホッとした自分が居る。
達巳は好きで付き合ったわけじゃないんだ。
ただ、仕方なくってやつ。
「どうやったら諦めてくれるんかな?」
「さあ?そんなに嫌なら根気強く避けたら?そんで別れてって言うとか」
「それ、ひどくね?」
「好きでもないのに、OKした達巳の方がひどいよ」
「確かになぁ……あぁー!女ってめんどくさい」
そう言ってまた寝そべる達巳。
あたしも、隣に寝転がった。

