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ラストチルドレン
第4章 零れていく砂のように・堕ちる暗闇

すごく焦らして、全然言わない俺に楓は膨れっ面をしながら、腕を引っ張る。
可愛いからまだ言いたくないなぁって思ってたら、後ろにクルッと回って背を向けた。
あれ、拗ねちゃった?
ごめん、ごめんって言いながら改めてご報告。
Γ就職、決まったよ」
その一言に、パアッと灯りが灯るような笑顔で振り向いて抱き締められた。
Γおめでとう!!」
何の職種かも聞かずにただただ、抱き締めておめでとうを連呼する。
Γありがとう。中卒だから、仕事は工事現場の作業員だけどな」
そんなに給料も高くないし、早く終わる仕事でもない。
肉体労働で、やっていけるか不安だけど。
そう、ポツリポツリと溢すと楓は優しい顔で俺を見つめて、両手で俺の顔を挟んだ。
Γどんな仕事でも、立派な仕事やよ?だって、そうじゃなければお給料も貰えないし。この世界の誰かの役に立ってるから、その仕事があるんじゃないの?あたしはまだ働いたことがないから、バイトでもすごいって思えるのに。」
そう言って、にこりと笑った。
Γ達巳、無理はしないでね。あたしも高校卒業したら働くからさ。達巳は、先輩だね。社会人の先輩」
ルンルンしたようなトーンで、そうやって何度も先輩って呼んでくる。
Γはいはい、分かった分かった。後輩ちゃん」
Γ達巳先輩、後輩に冷たい~」
ボスっと俺のお腹に頭を突っ込みやがって、変な声が出た。
甘え方が雑いぜ、後輩ちゃん。

