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ラストチルドレン
第1章 拾われた体・あたしの気持ち

昼休みの始まりを告げる鐘が鳴った。
あたしたちは、屋上から教室まで二人で戻る。
行きは、あんなにどんよりしていた気持ちも達巳が隣に居るだけで晴れ晴れとしていて、あたしは思ったよりも単純な人間なのかもしれない。
教室に入ると、それまで騒がしかった空間が静まり返りあたしたちにたくさんの視線が集まった。
達巳と目を合わせると、達巳もよく分からないようで首を傾げた。
「達巳君!どこ行ってたんよ!」
その沈黙を破ったのは瞳だった。
物凄い剣幕であたしたちの前まで来ると、あたしを一睨みした後、甘ったるい声で達巳の腕を掴んだ。
「あたし、めっちゃ探したんやからね。一緒にご飯食べよう?」
達巳は苦笑いしながら謝り、瞳に引っ張られて行った。
取り残されたあたしは、大変だな達巳も。なんて気楽に思いながら、自分の座席に座る。
「楓…大変なことになったね」
小声で話す摩耶に、どういうことか聞いてみたらさっきの沈黙の理由を教えてくれた。
どうやら、彼女である瞳が彼氏の達巳を散々探したが見つからず、泣き出したようだ。
そして、迎えた昼休み。
彼女でもない、あたしが達巳と一緒に教室に現れたことで瞳の怒りを買ったようだ。
皆、これはヤバイぞと思ったに違いない。
あたしたちにとっては、今まで通りの日常が瞳にとっては大問題な事らしく、摩耶はあたしを心配していた。

