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ラストチルドレン
第5章 絶望の果てに・失った光

◇
毎日達巳と今日あった出来事を報告し合うのが日課になっていたある日。
突然達巳から「しばらく電話出来ない」と絵文字も無い素っ気ないメールが届いた。
こんなことは今まで無くて、職場の人とご飯に行った日でも遅くにメールか電話が来て連絡を取り合っていた。
何だか胸騒ぎがして、慌てて達巳の都合も聞かずに電話を掛けた。こんなことをするのも初めてだった。
ワンコール、ツーコール、無機質なコール音はあたしの心を焦らせるには十分だった。
結局、留守番電話サービスに繋がって、あたしは留守電を入れて電話を切った。
しばらくして、達巳からまたメールが届き「ごめんね」そう書かれていた。
理由も分からず、あたしの心はモヤモヤと嫌なドキドキで冷や汗をかく。
何かしただろうか?達巳に嫌われた?
いや、理由が見つからない。
だって昨日まで普通に連絡していて、電話の達巳は笑っていたのに。
それなのに、こんな風に冷たい態度は初めてで。
柄にもなく泣きそうになった。手に握る携帯に力が籠る。
達巳に何かあったのだとしたら、頼って欲しい。
一人で抱え込んだりしないで欲しいのに。
小さな機械じゃ達巳の心に入れない。
でも、家に押しかけてしまえば、迷惑になるだろう。
何も出来ない自分にまた泣きそうになった。

