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ラストチルドレン
第5章 絶望の果てに・失った光


お昼12時を少し回った頃、家のチャイムが鳴る。

リビングに居た母親があたしの顔を見て出掛けるのかと聞いてきた。

「達巳と出掛けてくる。帰りは遅くなると思うからご飯いらない」

「そう…出来るだけ早く帰りなさい。心配だから帰る時連絡して?」

分かったと告げてリビングから玄関に走る。

母親とはあまり言葉を交わさないが、前ほどギクシャクはしていない。

相変わらず帰って来ない父親を未だに待ち続けている母親。

連絡はあるらしいが出張だ接待だと理由を付けては外泊している。

そんな話を母親が話すようになったのは最近だ。

それ以来、あたしも意地を張らずに話せることは話すようにしている。


玄関を開けると達巳が笑顔で出迎えた。

けれどその顔には大きな絆創膏が貼られていて慌てて駆け寄った。

「その顔、どうしたの!」

「転んだんや!気にするな。それよりごめんな。連絡もしないで…」

「ううん、忙しいんだから仕方ないよ」

本当は聞きたいことがたくさんあった。

でも何でだろう、達巳の顔を見たら色々聞いちゃいけない気がして。

達巳から話してくれるのを待とうって思った。

こんな時でも良い彼女を演じてしまうのは久しぶりの再会に水を差したくないのと、臆病な自分が居るからだ。

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