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ラストチルドレン
第5章 絶望の果てに・失った光


鈍行に揺られて1時間。車窓から見える景色は緑からビル街に変わって行く。

電車を降りてバスに乗り込み、更に30分。

どこに行くのと聞いても答えてくれない達巳は終始笑顔だった。

しばらく歩くと、デカい建物が見えた。

グレーの壁にでかでかと書かれた文字は…。

「水族館!?」

「ピンポーン。好き?水族館」

「行ったことない…」

「マジ?」

あたしたちが住む市内には動物園しかなくて、保育園の遠足で行ったことがある。

だけど、水族館は来たことが無かった。

テレビでは見る巨大水槽、イルカショー。

あたしはそれを羨ましいと眺めているだけだった。

「どうしよう…感動と驚きで…達巳大好き!」

隣に立つ達巳に抱き着くと照れた笑いを浮かべて優しく引き剥がす。

「楓、皆が見てるから…」

親子連れが驚いた顔をしていて途端に恥ずかしくなった。

「さ、中に入ろう?」

手を繋ぎ、中に入ると一面真っ青な壁と天井がお出迎え。

受付で入場料を払いチケットを受け取り、案内係のお兄さんが半券を千切って渡してくれた。

「どうぞごゆっくりお楽しみください。通路は左からお入りください」

そこはまさに迷路。壁に書かれている案内を見ながら進んでいく。


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