この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ラストチルドレン
第5章 絶望の果てに・失った光

「間もなくイルカショーが始まります。ご観覧の皆様はお急ぎ下さい」
館内アナウンスが流れると、達巳はあたしの手を引き、走り出す。
「イルカショーが目玉なのに時間忘れてた!」
通路に居る人を掻き分けて、一旦外に出るとイルカショーが行われる建物に入る。
観客席の上に屋根があり、目の前は巨大なプール。
最前列のお客さんは透明な合羽を着て座っていた。
あたしたちは後ろから2列目の席に座る。
プールを見下ろす形で一望できるこの場所。
間もなくして、一人のお姉さんがマイクを通して声を掛ける。
「お待たせしました!イルカショーの始まりです。大きな拍手でイルカたちを呼びましょう」
そのコールを合図に会場は拍手に包まれ、プールから大きなイルカが飛び跳ねて出てきた。
すごい水しぶきが上がり、それだけで最前列はびしょ濡れだ。
「うわーーーー!すごい!」
イルカの自己紹介が終わり、次々に演目が披露されていく。
ボールを跳ね返したり、輪の中を潜ったり。
成功するたびに餌を与えられ満足げなイルカにメロメロだ。
「可愛すぎるよ…」
目を奪われ心も奪われたイルカショーは30分程で終了した。

