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ラストチルドレン
第5章 絶望の果てに・失った光

イルカショーも終わり、館内も一周した後、お土産コーナーでイルカのぬいぐるみを見つけた。
どの魚も可愛かったしペンギンのぬいぐるみもあったけど、やっぱりイルカが一番。
「それ欲しいの?」
「うん、これお土産に買う!」
達巳がぬいぐるみを抱っこしてレジに向かおうとするのを慌てて止める。
「これは自分で買う」
「いいよ、俺に出させて?」
「ここまでの交通費も入場料も全部達巳が出してくれたでしょ?せめて自分のお土産くらいは出させてよ」
そこまでしてもらうのは、いくら何でも気が引ける。
遠慮しなくていいのにと達巳は言うけどあたしは譲らなかった。
「頑固だね」
「いいの!」
イルカのぬいぐるみを抱っこして水族館を出る。
達巳に何度もお礼を言うと、喜んでくれて良かったと笑った。
「幸せすぎてやばい…」
「大袈裟な。でも俺も幸せ」
地元に帰る間中、あたしたちは水族館の話で盛り上がった。
名残惜しいけど、電車はあたしたちの地元に着いてしまう。
改札を出ると、外はすっかり暗くなっていた。
時間はまだ六時半なのに陽が落ちるのが早くなったと少しだけ切なくなる。

