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第5章 絶望の果てに・失った光

「兄ちゃん、とりあえず一箱やる。使ってみたらいい。この世への苛立ち、不条理さ、何もかも忘れられるから」

カズさんに言われた言葉が脳内でフラッシュバックした。

あのとき、使わなかったけれど。

今なら……。

引き出しの奥に閉まったボロボロの箱を取り出す。

個包装された袋。

この中に、クスリがある。

持っているだけで違法。

でも、これがあればこのストレスや苛立ちから開放される。

一回だけ、試しにやってみようか。

大丈夫、一回だけだ。

ネットで調べて吸い方を知る。

意外に簡単だった。

じゃあ、やりますか。

こんな腐った世の中、一瞬でもいいからサヨナラしたい。

俺は、この日。

クスリに手を出した。